第一章 風の者(2)

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 炎の舌がめらめらと地獄の釜のように揺らめいている。どんどんと火の手が伸びてきて、今やかれの煤に汚れた素足を掴み、釜の中へと引きずり込もうとしている。かれは裸足で必死に駆けた。宿坊も金堂も厨も塔も、全て跡形がない。白い壁は組み材と土を呈して黒炭と化している。もっと早く逃げなくては。かれは回廊を走った。暑い。汗がじっとりと白の僧衣に滴る。暑い。火の粉が身に降り注ぎ、己を焼け焦がしてしまいそうだ。金堂で見た何者かもはや分からぬご本尊を抱いた焼死体のように。
 暑くて、苦しくて、悲しいのに、かれが頼るべき人間は、ここが火に覆われるずっと前から居なかった。炎よ、己を捕まえるのならば早くしろ。胸の内でそう叫んでも、火はかれの命を脅かすに留まり、奪おうとはしなかった。駆けて、駆けて、駆けた。そうしてかれは気付いた。駆けるから皆と死ねぬのだ。恐怖から逃げるのに足が駆けるのは普通ではないか。火は恐怖か。かれは己に問うた。火、それ自体は恐怖ではない。火は触れる。少し触れたとて火傷も負わぬではないか。ならば恐怖。恐れとは何か。死か。否。死は恐怖ではない。本当に恐ろしいことは生だ。生があるからこそ恐ろしいと感じ、しがみ付き、欲が出る。――空諦。かれは足を止め、瞼を閉じた。炎の渦がごうごうと音を立て潮騒のようだった。
 これで死は己を捕まえに来られるだろう。かれは僧衣の袖をぎゅっと握る。炎の舌が眼前に伸びてきた。舌はいよいよかれの顔を舐める。ふと、火が熱くないことに気付いた。恐る恐る目を開けると、そこには白い手があった。火が消えている。それどころか、焼け落ちた僧院も消え、一面に青々とした水田が広がっていた。白い手は、炎の舌と同じように、ひたひたと己の顔に触れた。冷たい。得体の知れぬ白い手に、しかし、不思議と恐怖は感じなかった。慈しむように額に触れる手に、かれは大丈夫かと問われたような気がした。
 懐かしい者を思い出した。




 田のぬかるみに足を取られた時、草履の底を泥から離すのは何とも難しいことだった。まるで仲睦まじい夫婦のように互いをぴったりと引っ付けて離さない。否、あの何とも言えず抗えぬ強い力は男を恋女房から絡め取ろうとする未婚の恋人のようかもしれぬ。兎も角そのぬかるみは力尽くで挑んでも容易に離そうとせず、逆に過ぎた力があだとなって体勢を崩されて、全身をぬかるみに浸るはめになる。
 そんな姿を見て野良仕事をする十六夜はよくかれを笑った。抗おうとする姿は勿論、泥だらけの姿が大層面白かったらしい。まだ体の成長しきっていない痩せがちの子どもだったので、仕方の無いことだった。
 それが今己の全身に起きていた。足裏ばかりでなく、手も腰も背中もだ。底なしの沼に嵌ると、或いはこういう気分になるのかもしれない。そんな身体の不自由に気付いたのは日の光が瞼の裏に強烈に打ち付けていたからだった。夢を見ていた気がした。昔の恐ろしい夢だと思ったが、笑う十六夜を思い出せば、恐ろしいこと自体が夢であったように感じられた。
(ああ、眩しい。朝だろうか、それとも昼か)
 起き上がらなければ、と己の身体を叱咤するものの、全身がぬかるみに埋もれてしまっているかのようで、数本の指先しか動かせぬ。己の体は一体どうなっているのだろうか。どうも背骨が浮かない。肩や腰に力を入れども、背に力が入らないのでどうしようもない。このまどろみが心地良くて体がいうことをきかないのであれば一理があった。
(ほら、早く起きねば。わしを呼ぶ声がするではないか。疾風……?)
 ふと、能面のような幼馴染の少年の面が心に浮かんだ。

 〈風の霞〉の耳に甲高い子どもの声が届いた。
「なぁ、もう起きた方がいいよ。そんなに寝てると頭が腐っちまうぜ」
 かれは模糊な頭で、はて誰ぞ、と頭を捻らせたが、しばらくして始めて聞く声だと分かった。それもそのはずだった。里には自分より若い者なぞ、数えるほどしかおらぬし、夢の終わりに見た能面の少年だって今は里を離れて町に住居を営んでいる。
 <風の霞>は声の主を見てはいなかったが、口調からしておのこだろうと考えた。声音から、まだ声変わりも済ませていない年少者だと推測された。
 子どもは、横たわるかれの体に手を乗せて、蒲団を叩くようにして揺さぶった。
「おい、姉ちゃん。俺もう水汲みに行かなきゃなんないから起きてくれよ」
 身を起こそうにも、瞼はぴたりと眼球にへばりつき、体は影を縫われたかの如く重い。子どもはかれの努力など知らず、体を揺さぶり続ける。いささか乱暴に叩いたせいで、その手が、まるで熟れた桃の皮を剥ぐかのように、腹の傷を擦った。
「――っ!」
 腹部のじわりとした熱を持った鈍痛に、〈風の霞〉は思わず飛び上がった。こうやって強制的な力なしでは、かれは起き上がることが出来なかっただろう。乱暴に子どもの手を払いのけると、子どもは引きつった笑みを浮かべていた。視線が交差すると、つと目を逸らした。傷口に触れたことでかれを怒らせたと思っているのだろう。
「えーっと、やっと起きてくれたようだから、俺水汲みに行くね!」
 子どもはそそくさと傍を離れ、土間に置いた桶を二つ持つと、草履をつっかけたまま飛び出して行った。戸の外で、すぐ帰ってくるから、と手を振ると瞬く間にかれの視界から消え失せた。
 それにしても傷が痛む。〈風の霞〉はゆっくりと、傷口に負担がかからぬように再び横になった。いつの間に腹部に傷を負ったのか正確には分からなかった。雷神の宮の忍びと対峙している時には無かった傷だ。爆風で飛ばされた時にでも負ったのだろうか。
 薄い掛け蒲団をめくると、体のあちらこちらに白布が巻かれていた。あの子どもが介抱してくれたのだろう。手当ては不器用で乱雑だったが、薬草も塗布されているようで、乾いた血の色に混じって、薬草の液が滲み葉っぱの形状を浮かび上がらせていた。かれが予想する薬草が当てられているなら、本来は生の葉をもんで、絞り汁を塗布しなくてはならなかったが、恐らく子どもは誰に習ったでもなく、大人が薬草を塗布するのを見て真似たのだろう。
 かれが白布以外に身に着けているものといえば襦袢のみで、枕元に小刀、クナイ、腰巾着と蘇芳の頬かむり、そして点々と血のあとがしみとなって付着している臙脂の裁付袴が、やはり不器用に折り畳まれていた。血塗れの酷かった上着はどうやら洗ってくれたようで、戸の脇の格子窓からはたはたと風に揺れる姿が窺えた。なるほど、今日は雲の流れが早いものの頗る天気が良い。
 昨晩は気を失ってしまい、じっくりとこの戸の内を観察する機会がなかったが、山奥の崖っぷちに佇む家にしては意外に広い。老人の如き姿に見たのは案外誤りかもしれなかった。部屋は見えるだけで三室あり、戸口から奥まで目の字を作っていた。己が寝ているのは恐らく客間だろう。小ぶりの箪笥が一棹置かれているが、あの子どもが一人で使うには大きすぎた。それ以外には行燈も机も無い質素な部屋だった。入口に最も近い食事場と広間は襖を取っ払われて一部屋使いになっている。そうなれば一番奥の一部屋は恐らくは納戸だ。しかし、他の部屋が開放的であることと対照的に、納戸の襖だけは一分の隙もなく、ぴたりと閉じられていた。寸分の隙も作らぬように口を閉じた襖は、営み溢れる家屋の中で、唯一全てを拒絶する空間に見得る。かれは何故だか胸騒ぎがして、酷くその納戸が気になった。だが、客分である以上、家人の許可を得ずに勝手することは憚られた。それに、頭は覚醒していたものの、体力も気力も自由気ままに動けるほど回復していない。子どもが帰ってくるまでもうひと寝入りしたほうがどんなにか良いか。
(にしても、あの餓鬼、よもやここに一人で住んでいるのではあるまいな)
 もう一つの不安はこの家の人員構成だった。大人は野良仕事か狩りにでも出ているのだろうか。仮に、あんな年端も行かぬ子どもが独りで暮らしているとすれば、非常に不憫でならなかった。己も似たような人生を歩んできたからだ。育ての親とはたった六年しか生活をともにしていないが、その思い出はかけがえのないものとなっている。かれはそれを糧にして今まで生きてきたようなものだ。
「そうじゃ……」
 〈風の霞〉ははっとして、まだ動きのぎこちない右手を胸に当てた。上着を着ていないのだから、ある筈がなかった。頭からさあっと血が引いた。
「十六夜の遺髪と鍵……! あの餓鬼め、いずこにやったか!」
 昨晩は爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされても手から離さなかったのだ。よもや森の中に落としたことはあるまい。かれは懸命に記憶を遡ったが、朦朧として思い出せぬ。何年越しかの思いでやっと手に入れたというのに、失っては困るのだ。でなければ、何のために傷を負ったというのか。
 かれは辺りをぐるりと見渡した。生活感がないわけではないが、厨の周りを除けばすっきりとしている。複雑な場所にしまい込んでいなければ、目に付くはずだった。が、隈なく見渡したつもりでも気持ちが焦っているせいか、見つけ出すことが途方もなく難しく思えた。
 寝転がっているから探しにくいのだと、かれはよろよろと身を起こすと、どうにかして四つん這いになって裁付袴を手に取った。緩慢な動きでそれを穿き、頬被りを腰巾着に詰めて小刀とクナイを佩くと壁際まで這い、上体を起こした。壁は日のぬくもりを吸収していて寄りかかると気持ちが良い。しかし、ひとたび体を捻れば全身が痛みで軋んだ。刀傷や骨折こそないが、全身いたるところの打撲はたった一晩で回復するはずもなかった。中でも先ほどの子どもに触れられた腹部の傷が一番酷い。ここだけは抉られるように出血していた。全身にじわじわと波打つような痛みを抱えながら、かれはゆっくりと膝を立てる。
 すると、戸口から慌てふためいた声がした。子どもが帰ってきたのだ。
「ああっ! 姉ちゃん、何してんだよ! まだ動くのは無理だって!」
 子どもは慌てふためいた様子で土間に水を満たした桶を乱暴に置き、草履を脱ぎ捨ててかれに駆け寄った。
「餓鬼、わしの懐の品はどうした」
 〈風の霞〉は、己の身体を支える子どもを睨んだ。子どもは、視線が合うと、また、ふいと視線を外し、横を向いた。
「ごめん、大切なものなんだと思って、箪笥の上に移したんだ……」
 子どもは角の桐箪笥を指差すと、ちょっと待っててと言ってかれの元を離れた。爪先立ちをして箪笥の上を探ると、白い包みを両手で掴む。
「はい。もっと立派なもので包めたら良かったんだけど」
 そういってあかぎれの治りかけた指先を震わせながら、黄色みがかった料紙を手渡した。子どもは、子どもなりにそれが何であるかを察したようで、丁寧に扱っていた。料紙をめくれば、確かに元通りのしなやかな黒い束と鈍色の鍵がある。
「いや……、脅かしてすまぬ」
 かれは遺髪の無事を確認すると、漸く安堵して、その場に座り込んだ。
「声を荒げて悪かった。非礼を詫びる。それに礼がまだじゃった。かたじけない」
 落ち着きを取り戻した〈風の霞〉の声は打って変わって穏やかで、子どもはもう怖くないと気付いてか、緊張の糸を紐解いた。
「手当てもしてくれたのだな?」
「うん! まだ動かない方が良いよ、姉ちゃん」
 子どもはかれの手を引くと、蒲団に誘導した。かれは渋々蒲団の中に戻ると、上体を起こしたまま、名を尋ねる。
「俺はヒサギ! ひばのひに、ささのさに、ぎんなんのぎ、だぜっ! 覚えた? 姉ちゃんの名前は?」
 子ども――ヒサギは綺麗な歯並びを見せて笑う。見る者にふつふつと元気を湧かせるような笑顔だ。その姿に〈風の霞〉も頬を緩めた。
「私……、わしの名は朧じゃ」
 〈風の霞〉の名は無論、通り名だった。「風」は朧の属する“風刻の谷”の者だという意味で、「霞」は紛れて捕まえられないことから敵方に渾名されたものだ。現に今まで任務で敵方に捕らわれたことはない。最も、仮に捕らわれた場合は自ら命を霞へと霧散させねばならぬ掟だったが。
 だが、朧という名もまた本名ではない。但し、育ての親から頂いた大切な名だった。朧にとってまことの名は存在意義のない遠い過去の幻影に過ぎなかった。「朧」の方が親しみを持っているし、単純に好いていた。この名を得て、かれは己がやっと現世に生まれ出でたとすら感じているほどだ。
 しかし、幾らまことの名ではないにせよ、かれら忍びの掟に則れば、見ず知らずの相手に名を教えることは本来、到底ありえぬことだった。相手が子どもであれど然り。名と顔が一致すればかれらの生業は成り立たぬ。故に昨晩の雷神の宮の少年同様、迂闊だと言えた。だのに、不思議なことに、この子どもは害がないと思わせる素質がある。かれ自身実に軽い気持ちで明かした自覚すらある。このどこから湧き出たのか分からぬ安易な親愛の正体は、ともすると単なる見くびりかもしれなかった。慢心は身を滅ぼす。それは忍びの座学でも学ぶ初心の心得だ。
「朧姉ちゃん、ね。それで、何であんな格好してたんだ? 男の人かと思っちゃったじゃん」
 ヒサギは外に干した朧の上着を視線で示した。あんな格好、とは忍び装束のことだろう。単なる野良仕事の服装だが、彼の頭では未婚女性は通常振袖を着ているものだと思っているのか、或いは彼の家族にそういった格好をしている者があるのだろう。ヒサギは長い袖を捲くる動作を何度かやって見せた。
「ああ、こりゃ働きに出るための服じゃ。お主の母御は野良仕事をせぬか。わしらの里では野良仕事は女が先立ち、男は刀を振り回すばかりじゃぞ」
「じゃあ髪も野良仕事するために切ってんの? 女の人は皆髪を伸ばすんでしょ。俺の母さんも髪が長いぜ。姉ちゃんの長さじゃ却って俺の方が長いじゃん」
「ちと邪魔で切ったんじゃ。それにわしは一度出家しておる。恣意の上ではもはや男女の別になど囚われぬ身なのじゃ」
「とらわ……? うーん、よく分かんねえけど、俺おーちゃんは最初っから女の人だって分かってたよ」
 ヒサギはじっと目尻の吊り上った朧の瞳を見つめ微笑んだ。やはり不思議な子どもだ。
「それは大したもんじゃな」
 朧は口端に笑みを浮かべながら心中で、まさか、と呟いた。子ども故、変な心遣いではあるまいだろうが、きっと手当の最中に気付いたのだろうと断じた。
 朧は今まで、外見、言動ともに一目で女だと見分けられた試しがなかった。体形や髪の長短を問わず、少年として扱われることに慣れていた。自分でもいわゆる女らしさというのは持ち合わせておらぬと自覚していたし、そもそも生まれて来る前にいずこかに置いてきてしまったのだとすら思っている。顔も覚えていない母親の胎内から出てきた時に女として残っていたものといえば、恐らくこの体だけだろう。体だけは憎らしくも雌のままでどうしようもなかった。決して雄にはなり得ぬ己を何度疎んだことか。別に女であることに違和感を覚えているのではない。ただ、風刻の忍びとしては大いなる足枷であった。
(わしは女ではない。女で居ってはならん)
 少なくとも風刻の谷に属する間は女であるべきでない。かれは心の底からそう思っていたし、周囲も女の振る舞いをせぬように強いていた。
「所でそのおーちゃんというのは何じゃ?」
「ああ、呼びやすいだろ?」
 ヒサギは澄んだ水を湛えたような色の目を爛々と輝かせた。
「おぼろだからおーちゃん! 俺って頭いいよね!」
 誇るように鼻頭を掻くヒサギに朧は呆れ、一拍した後に思わず破顔した。
「それでお前、ここには一人で住んでいるのか。誰か大人は居らぬのか」
「うん、母さんと一緒。父さんはいないけど、母さんと一緒に住んでるから寂しくないよ! でも母さん、最近病気になっちゃって、いつも奥で寝てるんだ。最近じゃ食事も残しちゃうんだ」
 ヒサギは襟足の少し伸びた黄金の髪を寂しげに揺らして、納戸を指で示す。
 病を得た故に二人はこの僻地に住まいを定めているのだろうか。家事の一切を息子に行わせるほどに彼の母は患っているのだろうか。
(流行病や難病ならば、村を追い出されても致し方あるまい)
 朧は気配の全く感じられない襖の奥をやりきれぬ気持ちで見やった。寝息や咳が洩れ聞こえることもなく、勿論、食事の音も聞こえてこなかった。寝返りを打ったり、腕を動かす時の衣擦れの音でも聞こえれば、まだ生の気配が感じられたのであろうが。ほんの些細な気配を感じらるほどの余裕はまだ己にはなかった。兎も角、ヒサギが独りではないと聞いて、朧は内心とりあえずはほっとした。まだ十にも達していないであろう子が、山奥で独り暮らしていけば、その末路は想像に難くない。
「そうか、では後ほど挨拶をせねばな」
「ううん、別に今からでもいいよ。母さんを起こせば良いだけだから」
 ヒサギは遠慮することはない、と笑って、一枚の紙も通さないよう、ぴったりと閉じられた襖に近寄る。
「母さん、昨日家の前で倒れてた姉ちゃんが挨拶したいんだって。もう起きてるかな。開けるよ?」
 彼は少し甘えた声で母親にそう告げると、返事を待たずして、つ、と両手で片方の襖だけ開く。その刹那、朧は今までの違和感を把握した。
「――なっ」
「ほら、おーちゃん。俺の母さんだよ」
 にこりとするヒサギの朗らかな様子とは裏腹に、襖の奥には凄惨たる光景が広がっていた。
(実際に目で見るまで気付かぬとは、とんだ不抜けめ!)
 朧は己を叱責し、痛みを忘れてヒサギの細腕を力いっぱい引っ掴む。
「ヒサギ、その部屋に入るでない」
 ヒサギは腕の痛みを訴えながら、しかし、きょとんとた顔で朧を見る。
「もう。急にどうしたんだよ、おーちゃん」
 朧は頬を膨らませたヒサギを胸に引き寄せた。








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